(1997.8.31 発行)
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1.はじめに(プレ創刊にあたって) |
歴史も経験も長い「かながわコロン(潰瘍性大腸炎の患者会)」に取り上げられこの(準備)会が産声を上げたのは、まだ薄ら寒い春先のことでした。
それまでは、私達それぞれが、自分の苦難の経験を、それぞれの想いをなんらかの形でまだ日の浅い患者さん達に伝えられないだろうか?そんな思いを温め続けていました。そうして、それらの思いがひとつになることで「かながわCD」がスタートしました。
しかし、これまでの既成概念からするとどうしても「患者会」=「同病相哀れむ会」というイメージを払拭できませんでした。特にこのクローン病はしつこく再燃を繰り返し、治療に抵抗する病気ですので、なおさら相哀れむしかない状況に陥りやすいと思ったのです。
最近では、治療方法の進歩から以前よりずっとコントロールがしやすくなってきましたが、いまだに多くの患者さんはおいしいものが食べられない辛さと、またいつ再発するとも知れない不安にさいなまれながら日々を送っています。
いっぽうそういう病気を持ちながらも一部の患者さんの中には、病気と上手につき合い通常の仕事をこなしている方も少なくはありません。
この両者の間には、肉体的(病状)にも精神的(気持ち)にも大きな開きがあります。従って私達はこの大きなギャップを埋め、全ての患者さんにクローン病を持ちながらも明るく楽しい「本来の人生」をおくっていただくお手伝いができればと考えました。
以上のことから私達は、かながわCDをクローン病に対する実践の場としてとらえ、単なる寄り集まりでなく皆それぞれの経験と知恵を出し合って病気と楽しくつき合うこつや、より良いQOLを模索して行くことを目標としました。
この小さな会の最初の冊子が、この「かながわCD News Letter」になります。この小さな冊子が、皆さんの人生にほんの少しだけでも安心と勇気を与えてくれることを願って、プレ創刊のご挨拶とさせていただきます。
2.総会&体験座談会のお知らせ |
3.かながわCDアピール |
この会の役員は30代の方々が多く、十数年もの間この病気とつきあっています。再発や手術も何度か経験しています。会社勤めの方が多いので、何度も長期にわたって入院するのは、かなり負担となったそうです。
またこの病気は10代後半から20代前半に多くは発症するため、そのような若い人にとって一生直らない、食事制限がある、手術も何度もしなければならないという事実は非常に大きなショックになります。そのためふさぎ込み、人との関わりを拒否してしまったりする人も出てきてしまうことがあるのです。
また患者の親のことも大きな問題です。病気の厳しさを知り、ショックを受けかなりナーバスになってしまい、親自身が第2の患者となりかねません。
このような方々には、我々のような同病者の助言はきっと役に立ちます。病気そのものが治らなくても、気持ちが落ち着いていれば、クオリティオブライフは格段にあがります。ぜひこの会を積極的に利用してください。そのための会なのですから。
4.かながわCD活動報告 |
5.かながわCD活動目標 |
かながわCDでは、患者さんやその家族の皆さんのQuality of Life(生活の質)の向上や"Enjoy My Life"をモットーに下記のような活動を行っていきます。
6.Topics - :クローン病の治療:薬、手術 |
クローン病といってもその病態は様々であり、また患者個々人によってその治療方法も異なりますが、ここでは現在行われている治療を薬物療法、外科的治療に大別し簡単にみてみることにしましょう。(栄養療法については別誌にてご説明します)
● 薬物療法
薬物療法では、主に下記のいくつかの薬を組み合わせて使っていきます。
・サラゾピリン--普通最初に使用される薬で主に大腸の病変に有効で、大腸に入ってから薬が分解され薬効(5アミノサリチル酸)が働く為、小腸には効き目はありません。またサルファピリジンが希に副作用を起こす場合があります。
・ペンタサ--最近出来た薬で、サラゾピリンからサルファピリジンを取り除いたものです。5アミノサリチル酸にコーティングをしたもので、胃から溶け出す為小腸にも大腸にも有効で副作用も少ない大変有用な薬です。
・ステロイドホルモン(プレドニン)--炎症を押さえたりするのに非常に良く効く薬です。劇的に効くのですが、永く使用すると副腎機能不全や骨の病変等を伴うので、キチンと管理された使用法が大切になってきます。
・免疫抑制剤--イムラン(アサヂオプリン)、6MP等がありますが、ステロイドホルモンを止めると病気が悪化したり、ステロイドがだんだん効かなくなってきた方に用いられます。
● 外科的治療
最近のクローンの手術は本当の病変の所(非可逆的病状としての大出血、腸閉塞、肉眼的病変部位等)だけを取り、なるだけ腸は残していくというのが原則となっています。治療の最終目的は、なるべく早期に健全な社会生活を送れるようにする事であると思います。従って手術は内科的な治療で治らないもの(非常に永い時間を要するもの)を、必要に応じて行なう適切な治療方法のひとつといえましょう。
・狭窄形成術--病変が落ちついていてヒキツレ(潰瘍の痕)の為に狭くなっている方の場合に、腸を取らないで、腸を縦に切って横に拡げるという手術です。何カ所も狭窄がある方や、何度も手術をし腸が短くなっている方には非常に良い方法です。
・肛門病変に対するシートン法--クローン病の患者の多くに痔瘻の症状が診られ、お尻の周辺に何カ所も瘻孔が空くのが特徴です。この痔瘻を治療するのに大変有効な方法がシートン法です。痔瘻の手術時に膿を出した後、軟らかい管を孔に通し、3カ月以上そこに置いておき粘液・膿を取り去るというものです。この方法ですと肛門機能が保全されますので失禁状態になることも少なく有用な治療方法です
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*本稿は97.6.29横浜市大病院第2外科杉田昭先生による「クローン病講演会」のご講演の一部を抜粋・編集したものです。詳しくは別途発行予定の「クローン病小冊子(仮称)」をご参照下さい。
7.準備会メンバーひとこと |
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8.編集後記 |
仕事と家庭と患者会のみつどもえの半年間があっという間に過ぎました。やれば出来ると自負する反面、これまで病気を理由に何もしてこなかった日々が悔やまれす。「だるい、つらい、お腹が・・・」などの言い訳?をしながらどれだけの時間を浪費してきたことか。クローン病の患者とて普通の長さの人生のはず。同じ時間です。少しでもよりよい状態が長く続くように有意義に人生すすめていきたい。そう思う今日この頃です。
9.参考文献/情報源 |
◆雑誌、文献
10.お知らせ |