クローン病について

クローン病とは

 クローン病(英名 Crohn’s Disease)という名前は、1932年にニューヨーク州立大学のクローン博士が最初に報告したことから付けられました。当初は小腸の一部分が潰瘍に侵される疾患と考えられていましたがその後消化管全体(口から肛門まで)に発症する病気だということがわかってきました。

 クローン病の症状としては、初期には軽い腹痛や全身倦怠感、不定期な便通があり、次第に腹痛、発熱、下痢の回数が増え、放っておくと極度にやせ衰えていきます。さらに病状が進むと水様性の下痢が頻発し全身状態が悪化し、入院治療が必要となります。

 クローン病の原因については諸説ありますが、現在のところ自己免疫不全によるものと考えられる説が有力です。従って、その治療はなるべく腸を休め(絶食し)てプレドニンなどの副腎皮質ホルモンを使って炎症を抑え、状態がよくなった時点でエレンタールなどの成分栄養剤を使って原則的に内科的に治療を行います。しかし、腸管に重度の狭窄や瘻孔などがある場合は、外科手術の対応にもなります。また、この病気は発症が10代から20代の若年層に非常に多く、一度発病すると高い頻度で再発を繰返します。再発を繰り返すうちに外科手術の対応となる場合も多く、さらに悪いことには手術を行った場合かなりの確率で手術部位から再発をすることがあります。2000年代以降、抗TNF-α抗体のレミケード等の生物製剤やイムラン等の免疫調整剤がクローン病の治療で一般的に使われるようになり小腸内視鏡の進化・普及もあいまって内科的治療は大きな変化を迎えています。

 クローン病は潰瘍性大腸炎と同様に、厚生労働省の特定疾患治療研究事業対象疾患に指定されており、医療費の助成とともに特定疾患調査研究班によって調査研究が進められてきました。2015年1月1日からは同日施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」で定められた厚生労働大臣が指定する疾病(指定難病)として引き続き医療費の助成が行われています。(医療費の支給には、申請のうえ認定される必要があります。)また、クローン病と潰瘍性大腸炎を含め炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)としてまとめて呼ばれることもあります。

<参考>
難病情報センター

神奈川クローン病患者会